2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540058
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
本間 正明 Kanagawa University, 工学部, 教授 (80145523)
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Keywords | 代数幾何 / 代数曲線 / 有限体 / 有理点 / 射影平面 / Sziklai予想 / 国際研究者交流 / 韓国,ブラジル |
Research Abstract |
有限体F_q上定義された代数曲線Cについて,そのF_q有理点の個数N_q(C)はどれほど大きくなれるのかという問題は多くの数学者の興味を惹いてきた.その理論的にも興味深い評価のひとつとして,有名なHasse-Weil boundがある.すなわち, Cの種数をgとするとき,N_q(C)\leq q+1 + 2g \sqrt{q}で与えられる.しかしCがある射影空間P^n内にあるとき,N_q(C)をCの次数dによって評価しようとすれば,dが大きいとき,Hasse-Weil boundにかぎらず,関数体だけに依存する量による評価は「十分に良い評価」を与えないことは容易に分かる. さて,n=2,すなわち平面曲線の場合に,この問題を考える.これについてB. Segreは50年ほど前に, N_q(C)\leq (d-1)q +[d/2]という評価を与えた.2008年になって, SziklaiはB. Segreのこの結果を再発見すると共に, N_q(C) \leq (d-1)q +1という予想を提示した.本研究の海外共同研究者であるSeon Jeong Kim氏と共に,早速この予想の検討を始め,q=d=4の場合にはこの予想には反例があること,ただしq=d=4の場合の反例は射影同値を除けばこの例に限るということを証明した.この例は別の意味でも興味深い.すなわち,反例の曲線はF_2上でモデルをとることができるのだが,このモデルの双対曲線を考えると,それは特異点として7つの通常特異点をちょうどF_2射影平面上にもち,しかもそれらの点をblow-upして得られた曲線はF_2有理点は持たない. またわれわれは,新しい評価式N_q(C) \leq(d-1)q +(q+2-d)を得た.この評価式は3q/2+5/3〈d\leq q+1の範囲でSegreの評価式を凌駕しかつd=q+1の場合にはSziklai予想が正しいことを示している.さらにd=q+1は実際にこの上限を到達する曲線の存在も確認した.
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