2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540067
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今野 宏 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (20254138)
|
Keywords | ハイパーケーラー多様体 / シンプレクティック多様体 / 幾何学的量子化 |
Research Abstract |
ハイパーケーラーモーメント写像のノルムの2乗をモース関数としてモース理論を適用することにより,トーラスによるハイパーケーラー商のトポロジーを調べている.この研究において,第1の課題は,この関数はプロパーでないにもかかわらず,この関数の勾配の精密な評価をすることによりモース理論を適用できることを示すこと,第2の課題は,モース理論を適用してベッチ数やコホモロジー環を決定することである.本年度は,上記の第2の課題について,ある実用的な条件のもとでコホモロジー環が大変望ましい形で決定されることを示した.第1の課題については,トーリックハイパーケーラー多様体について,あるいは,ある技術的な仮定の下では以前の研究により解明されている.その技術的な仮定はつねに満たされていると研究代表者は考えているが,それを示すことは未解決である. 幾何学的量子化,特に実偏極とケーラー偏極の関係をMark Hamilton氏と共同で調べている.トーリック多様体についは,Baierらの研究により,実偏極を複素構造のある特殊な極限として理解できることが知られている.本年度は,同様な結果を旗多様体の場合にほぼ示すことに成功した.すなわち,旗多様体のシンプレクティック構造を固定したときに,それと両立する複素構造の族で実偏極に収束するものがほぼ構成できた.アイディアは,旗多様体のトーリック退化と,Baierらによるトーリック多様体の方法を組み合わせることである.その際,シンプレクティック幾何の対象と複素幾何の対象のさまざまな同一視を構成する必要があるが,その大半を実行した.
|