2009 Fiscal Year Annual Research Report
HOMFLYとKauffman多項式による量子不変量の漸近挙動の研究
Project/Area Number |
19540071
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川越 謙一 Kanazawa University, 数物科学系, 講師 (50293337)
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Keywords | トポロジー / 結び目 / 量子不変量 |
Research Abstract |
colored Jones多項式の特殊値の極限がその結び目の捕空間の体積と一致するであろうという「体積予想」はいくつかの例で検証されているが、いまだに証明されてはいない。そこで、本研究では1変数多項式不変量であるJones多項式を2変数へと拡張したHOMFLY多項式とKauffman多項式を用いて、幅広い観点から体積予想を検証するのを目標とした。最終年度はHOMFLY多項式に関した計算を行った。既に、8の字結び目に対しては具体的な値が積分表示により得られているので、他の交点数の少ない結び目やホワイトヘッド絡み目に対して計算を行った。8の字結び目の具体的な値から予想をたて、同じような漸近挙動が起きているのかを調べた。具体的には、HOMFLY多項式の2つのパラメータある比率を保ちつつ同時に動かすと、量子不変量が体積以外の値に収束していくことが見出せた。この研究を発展させればJones多項式の「体積予想」の先につながると期待する。 上記の研究は結び目のスケイン理論を用いるが、この計算過程において、ブレイド群のホモロジカルな表現とスケイン理論が関係していることが見出だせた。特に、結び目の紐が線積分の積分区間そのものに対応していることが分かった。これにより積分区間の変形が、そのまま結び目の変形に対応し、積分区間の記述が簡単になると期待される。これらは表現論の分野と関係しており、他分野との交流が活発になることも期待される。
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