2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540075
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 吾郎 Kyoto University, 情報学研究科, 研究員 (00027377)
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Keywords | 楕円コホモロジー / Morava K-理論 / 形式群 / 無限ループ空間 / カテゴリー |
Research Abstract |
本研究の目的は,楕円コホモロジー論やMorava K-理論のような高階のコホモロジー論を,通常のK-理論がベクトル空間のカテゴリーから構成されるように,高次元カテゴリーを用いて実現することである.平成20年度の研究は,平成19年度の研究を引き続き,有限群の表現が,可換あるいは巡回部分群たちと,共役準同型のなすカテゴリー上で決まってしまうことに注目し,このようなカテゴリーからのファンクターカテゴリーを考察した.これは群自体が1-カテゴリーであるのに対し,2-カテゴリーとなっている.このカテゴリーでは1-射の積は元の群において交換可能な元のみに対し定義され,ある種の量子群と考えることができる.また,完備な局所環R上で定義された形式群は可換なR-代数に対し幾何的点集合として可換群を定めるが,非可換なR-代数に対しも,上のような2-カテゴリーを定めることができる.特にR上の全行列環に対して得られる2-カテゴリー,あるいはその分類空間についてこれまでに得られた結果は,1)n次全行列環とm次全行列環の直和によって,この分類空間はG.Segalの特殊ガンマ空間であり,従ってその完備化は無限ループ空間である.2)形式群を用いてテンソル積が定義され,この無限ループ空間により定まる一般コホモロジー論は積を有する.3)形式群が乗法群のときは,この2-カテゴリーから定まる表現論は有理数体上一致する.以上の点からこの2-カテゴリーがMorava K-理論の分類空間の候補であると考えられる.これらについて,平成20年度はシンガポール国立大学のBerrick教授とultimateコホモロジーについての共同研究を進めた.その成果として,有限群コホモロジーの無限大次元とその近傍についての挙動に関し,構造を明らかにした.
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