2008 Fiscal Year Annual Research Report
平坦な幾何構造を許容する等質空間の不変量による特徴付け
Project/Area Number |
19540091
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
阿賀岡 芳夫 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (50192894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田丸 博士 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (50306982)
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Keywords | 平坦な射影構造 / 左不変 / リー環 / 表現 / 不変式 |
Research Abstract |
平成20年度は、リー群上の左不変で平坦な射影構造の研究を行った。リー群が単純の場合には、存在・非存在に関して既に分類結果が得られているが(Agaoka, Urakawa, Elduque)、一般の場合、あるいは半単純の場合についての結果はあまり知られていない。まず半単純の場合、加藤宏尚氏の研究に示唆を受け、例えばsl(2,R)+sl(3,R),sl(3,R)+sl(4,R)上に平坦な射影構造の存在することを示すことができた。一般にこのような幾何構造と対応するリー環のある種の表現とが対応することがわかっているが、この2例の場合はそれぞれのリー環の既約表現を用いて構成することができる。その一方でsl(2,R)+sl(2,R)上にはこの幾何構造は存在しないので、上記の結果は半単純リー群上の左不変平坦な幾何構造を分類せよ、という新たな問題を提起する例を与えたことになる。 この種の幾何構造の存在・非存在を判定する具体的なアルゴリズムは私の過去の研究で得られているが、現実には与えられたリー環のすべての表現についてこの判定法を適用することは不可能である。さらによい判定法が求められていたのであるが、この問題に関し1つの強力な必要条件を求めることができた。 定理n次元リー群上に左不変で平坦な射影構造が存在すれば、それに対応するリー環の表現のn+1次対称積表現は不変式をもつ。 この判定法により、上記sl(2,R)+sl(2,R)を含むいくつかの半単純リー環上にこの種の幾何構造の存在しないことを容易に示すことができるようになった。
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Research Products
(3 results)