2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540107
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
塩濱 勝博 Fukuoka University, 理学部, 非常勤講師 (20016059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陶山 芳彦 福岡大学, 理学部, 教授 (70028223)
川久保 哲 福岡大学, 理学部, 助教 (80360303)
松浦 望 福岡大学, 理学部, 助教 (00389339)
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Keywords | リーマン計量 / 放射曲率 / リッチ曲率 / 測地線 / ハウスドルフ距離 |
Research Abstract |
平面モデルを参照空間とする点付き完備非コンパクトリーマン多様体の位相について,印南信宏(新潟大教授),猿子幸宏(佐賀大講師)と共同研究を行った.測地線族によるモデル曲面の層化を用いて平面モデルの全曲率がπより大きいときの切断跡の構造を研究し,基点から十分に遠方の点の切断跡はvon Mangoldt回転面の場合とほぼ同じである事を証明した.応用として,この平面モデルを参照空間とする点付き完備非コンパクトリーマン多様体の有限連結性を証明した.この成果により塩濱-田中(Math.Z.vol.241,2002年)が証明出来なかった場合を完全にカバーする事に成功した.特にモデル平面の全曲率が2πに等しい場合の切断跡の構造を解明する事に成功し,これを参照空間とする点付き完備非コンパクトリーマン多様体がn-次元ユークリッド空間に微分同相となる事を証明した.証明の基本的アイデアは,モデル曲面のSuper Busemann関数の挙動を調べて,基点から十分に遠方の点は基点からの距離関数の臨界点でない事を示すのが重要である.しかしながら,この事実は多様体上の直線の存在及びそれらの分布にはいかなる制約も与えていない.従って我々の手法では多様体の端点の個数評価を得る事が出来なかった.近藤慶-田中実による最近の研究では端点の個数評価が得られたとの報告がある. モデル空間を階数1の対称空間とする比較幾何学の研究は上述の研究成果の一つの展開として見えてきた.放射曲率に関する基本認識は,モデルの平行超曲面が全臍的超曲面である.具体例をいえば,正則断面曲率が正定数のコンパクト階数1の射影空間内の余次元1の部分多様体のshape operatorの固有空間が法線ベクトルに関する曲率変換の固有空間と一致し,且つ主曲率の間に一定の関係式が成り立つ場合には,多様体は射影空間内の球面と合同で,従ってその微分構造は標準的球面となる事を濱田龍義(福岡大助教)との共同研究で証明した.
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