2008 Fiscal Year Annual Research Report
一般化された熱力学的変分原理を介在した複雑系における散逸現象と間欠性の解析
Project/Area Number |
19540109
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
由利 美智子 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (70174836)
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Keywords | Dissipative phenomena / Intermittency / Phase transition / Variational Principle / Weak Gibbs measure / Non-hynerbolicity / Equilibrium state / Irreversibility |
Research Abstract |
当該研究の目的「完備かつ可分な距離空間上の非可逆可測変換に対し、両側非特異測度(bi-nonsingular measure)のクラスにおいて、特に不変測度の場合は従来の変換のエントロピーに帰着する複雑系の広い範囲に適用可能なエントロピーと、そのLegendre変換の一般化として自然に現れるPressureに相当する量を定式化する」に対しては、Gibbs entropyに関するRuelleより提唱されたエントロピー生成の概念を、非可逆離散写像に拡張し、不変測度に対して定義される変換の測度論的エントロピーの概念を、両側非特異であるweak Gibbs測度のクラスにおいて一般化する事により、Pressureの自然な拡張と弱い意味での平衡状態の定式化のアイデアを得る事に成功した。この結果を論文「Entropy production at weak Gibbs measures and a generalized variational principle」において発表し、Ergodic Theory and Dynamical Systemsに掲載予定(2009年度)である。この研究成果により、非特異測度に関するtransfer operatorを介在しエントロピー生成め時間発展の漸近平均を捉え、この量が消滅する事が、両側非特異測度に関する一般化されたエントロピーにどのような影響を与えるか明らかになり、更には、Ruelleによる非平衡状態の統計力学を念頭においた、可逆変換に関するエントロピー生成を介在した散逸性の記述を双曲性が期待できない複雑現象において、Sinai-Ruelle-Bowen(SRB)測度とunti-SRB測度の不整合と類似の現象として捉えられる可能性が高まった。
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