2008 Fiscal Year Annual Research Report
弾性方程式および導電方程式に対する逆問題の解の構成
Project/Area Number |
19540113
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
田沼 一実 Gunma University, 大学院・工学研究科, 准教授 (60217156)
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Keywords | 弾性表面波 / 弾性波動方程式 / Rayleih波 / 非等方弾性体 / Stroh formalism / 残留応力 / サーフェス インピーダンス / 分散 |
Research Abstract |
自由境界表面に振幅が集中している弾性表面波(Rayleigh波)の挙動を調べることで,弾性体の非等方性,非斉次性を決定することは,地球物理,材料力学での重要な実際問題である.本研究では,弾性波動方程式の特殊解(Rayleigh波解)の性質を吟味することで,上記問題の数学的定式化を目標とする。 1.斉次弾性体のもつ非等方性が等方弾性テンソルからの摂動によって与えられるという設定の下,Rayleigh浪のpolarization vectorにおける縦波成分の最大値と横波成分の最大値の比であるpolarization ratio,およびそれらの成分間の位相変化(phase shift)が,等方弾性体のときと比べてどう変化するか調べた.すなわち,弾性テンソルの非等方部分がpolarization ratioおよびphase shiftの一次摂動に寄与する仕方をexplicitな公式で表示した.これらの摂動公式は,非等方弾性体方程式に対するStroh formalismを応用することで得られる.以上の結果を,Rayleigh波速度の摂動公式とあわせ,Rayleigh波の観測から弾性体のもつ非等方性,残留応力を決定する逆問題に応用し,一次摂動の範囲でそれらの同定可能性について総括した. 2.弾性テンソルが自由境界表面から深さ方向に非斉次であるという設定の下,Rayleigh波速度に対して,周波数に関する漸近展開公式(分散公式)を導出するために,本年度は変位と表面力との線形関係をあらわす代数量サーフェスインピーダンスの漸近展開公式の各項を求める手続きを与えた.今後は,Rayleigh波速度の分散に対する非斉次性の具体的な寄与の仕方を明確にし,あわせてRayleigh波の分散から弾性体の非斉次性を決定する逆問題へと展開する計画である.
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