2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540114
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
種村 秀紀 Chiba University, 大学院・理学研究科, 教授 (40217162)
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Keywords | 無限粒子系 / ランダム行列 / 拡散過程 / ダイソン模型 |
Research Abstract |
未来永劫衝突しないという条件のもとで考えると、複数個の1次元ブラウン粒子系は、対数ポテンシャルを相互作用とするブラウン粒子系となる。この長距離相互作用粒子系は、ダイソン模型と呼ばれており、ブラウン運動を成分とするユニタリー行列値過程の固有値とも等価であることも知られている。ダイソン模型は 有限個の粒子系であるが、粒子数を無限大にしていくと、尺度の選び方により、ダイソン型無限系とエアリー型無限系の2つの種類の無限粒子系に収束することが分かる。収束の証明は、(多時刻)相関関数を用いて行われ、極限無限粒子系の性質も相関関数から導かれる。これらの無限粒子系は、長距離相互作用をもつために、初期値および配置空間に関する制限とても強い。実際、これまでに得られている無限粒子系は、初期値が平衡分布、つまり平衡過程である場合のなどの特別な場合に限られていた。20年度の香取眞理氏との共同研究により、一般の初期値に対してダイソン型無限系を構成し、その性質を調べることに成功した。これは、従来、有限系の相関関数の具体的な行列式表現が、平衡状態またはそれに類する場合でしかできなかったのに対して、重複直交多項式の理論を発展させることにより、一般の初期配置であっても行列値表現ができることを示したことが最も大きな要因の一つである。この表現は、解析的な関数を熱核により積分して得られる関数を行列要素とする行列式表現であることから、さまざまな方向から解析することが可能となる。この性質は、粒子を無限にしても遺伝するため、無限粒子系の発展に大きく寄与する結果であると思われる。得られた結果は、国内外の研究会で発表しており、この分野での専門家からの評価も高い。(論文は、投稿中である。)
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Research Products
(3 results)