2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540114
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
種村 秀紀 Chiba University, 大学院・理学研究科, 教授 (40217162)
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Keywords | 無限粒子系 / ランダム行列 / 拡散過程 / ダイソン模型 |
Research Abstract |
確率過程でその時空間相関関数が行列式で表すことができるものを行列値過程という。ダイソン模型と呼ばれる長距離相互作用粒子系はその典型的な例である。従来は、平衡分布などの特別な初期条件のもとでの行列値過程の存在と解析が行われてきたが、香取眞理との共同研究により、ダイソン型などは、一般の初期値の下でも行列値過程であることを示すことができた。この結果により模型の解析に新しい手法を与えることができ、粒子数を無限にしたときに非平衡な無限粒子系に収束、緩衝現象の導出など物理的にも重要な結果を導くことができた。(Commun.Math.Phys.293, 2010に掲載済) 粒子数を無限にしていくに従って増大するドリフトを加えることにより、また別の非平衡無限粒子系を構成することができ、その緩衝現象などを示すことにも成功した。(J.Stat.Phys.136, 2009に掲載済) これら2つの無限粒子系は、平衡である場合のバルク尺度極限、ソフトエッジ尺度極限で平衡ダイソン模型から得られる平衡無限粒子系にそれぞれ対応している。つまり、非平衡系の初期値を平衡分布で平均をとると平衡系が得られるのである。このことにより、いままで未解決であった平衡系のマルコフ性などの性質を示すことができた。一般化として、非衝突ベッセル過程に対しても同様な結果が得ている。この場合、平衡系でハードエッジ尺度極限で得られる無限粒子系に対応している。 以上で得られた結果は、国内外の研究会で発表されており、この分野での専門家からの評価も高い。
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Research Products
(5 results)