2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540117
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
真島 秀行 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (50111456)
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Keywords | 関孝和 / 関新助 / 建部賢弘 / 円周率 / 楊輝算法 / 括要算法 / 綴術算経 / 綴術真本 |
Research Abstract |
1. 関新助孝和の生誕年を推察する上で実父内山七兵衛永明の没年が手掛りとなる。国立国会図書館蔵の「年録」を調査し、正保三年十一月二十八日(1646年)に兄の幼名七之助(後の七兵衛永貞)が跡目相続(死後相続)を許されていることを突き止め、関新助孝和の生誕年の下限は1645年となると推察し1642年前後誕生という通説を支持する根拠を与えた。2. 関新助孝和の養父について、死後、寛政重修諸家譜成立後としても200年以上謎とされて来たが、国立公文書館蔵の「甲府日記」を読み解くことにより画期的な成果を得た。即ち、養父の通称が、今まで関五郎左衛門とされて来たが、実は、関十郎右衛門であり、寛文五年十一月二十三日(1665年)に高百俵で跡目を継ぎ、小十人御番として桜田館に出仕したことを突き止めた。仕官と楊輝算法を書写(「寛文辛酉仲夏下浣日 訂写訖 関孝和」)したことを関連付ける議論もあるが違うと考えられる。3. 関孝和の行った円周率の計算の結果が『括要算法』に残されているが、なぜ、「3.14159265359微弱を定周と為す」と結論付けたかという疑問が提出されていた。関孝和の行った数値計算を検討し、小数第13位までが正しく計算したと関孝和自身が信じられる結果となっていることを明らかにした。4. 弟子の建部賢弘が関孝和の円周率の計算について「綴術算経」(序文享保七年一月)では「十三万千七十二角に到る截周を求て十五六位の真數を究め得たり」と書き、「建部先生綴術真本」(東大本)及び「綴術算経(東北大学 狩野本)」では(序文、享保七年二月)では「二十許位の真数を究め」と書いた点に(明治以降の和算史研究では)初めて言及し、これらの書物の成立順に関する議論に一つの決定的な論拠を与えた。
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Research Products
(9 results)