2007 Fiscal Year Annual Research Report
組合せ論における確率的及び擬確率的手法の研究とその応用
Project/Area Number |
19540119
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
石上 嘉康 電気通信大学, 電気通信学部, 准教授 (50262374)
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Keywords | 組合せ論 / ラムゼー理論 / 超グラフ / 擬ランダム |
Research Abstract |
擬確率的方法の仕組みは次の2段階に分けられる。まず、(1)任意の巨大な離散構造が擬確率的構造であらわされること、そして(2)擬確率的構造は確率的性質(対応する確率構造が高確率で満たす性質)を満たすこと。これらによって、任意の巨大離散構造に対して、所望の性質を調べることができる。最近、離散構造体の代表例であるグラフだけでなく多くの離散的モデルに対して、(1)が成り立つことがわかってきた。(2)においてどれだけ良い性質が示せるかどうかに、応用上の鍵がかかっている。 平成19年度は、(1)と(2)のバランスをよく研究した上で、主に超グラフを主な舞台として、応用をかんがみながら、周辺技術の整備にはかった。超グラフの擬ランダム性の研究はとても重要性が増している、なぜなら、それによって関数解析やエルゴード理論、確率論や理論計算機科学の諸定理を導けることもわかってきたからである。(例えば、Szemerediの定理の組合せ論的別証明が導かれる。)その具体的な応用例として、超グラフの任意の遺伝的性質Pをもつクラスの族のサイズが、Pのある綺麗な不変数によって、ほぼ決定されることを示せた。遺伝的性質とは、かなり普遍な概念である。これは、Bollobasら多くの研究者が、20年近くにわたってグラフや3-グラフ、k-グラフで行った多くの研究成果の拡張になっている。本研究では、超グラフから離れて、さらに一般的な色つき超グラフへ拡張することで、より自然な証明を完成させている。
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