Research Abstract |
(一様媒体での)2成分双安定反応拡散系の空間1次元の問題に対して,フロント定常解の周りでの線形化作用素がJordan型(熊手型分岐)の特異性をもつ場合を考えた。解析的特異摂動法を用いて,この特異点における線形化作用素の固有関数(一般固有関数も含めて)を全て構成的に計算した。さらに,その共役作用素の固有関数も全て(一般固有関数も含めて)構成的に計算した。これらの情報を利用して,特異点近傍でのフロント解のダイナミクスを記述する縮約(常微分)方程式を導出し,この特異点において,2つの安定なフロント進行波解が分岐することを確認した。この状況下で,2種類の空間的非一様な摂動を受けたときの解のダイナミクスに関して解析した:(i)反応項にステップ状の空間非一様な摂動を与えたとき,(ii)拡散係数(2成分とも)にステップ状の空間非一様な摂動を与えたとき。両方とも摂動項を組み込んだ縮約方程式を導出し,それを解析することにより,興味深い結果を得た。(i)に関しては,非一様性の影響が,不安定解の出現となって現れ,その不安定解が非一様な摂動を受けた進行フロント解の通過,反射のセパレータ(分水嶺解)の役割を果たしていることを明らかにした。 (ii)に関してはかなり複雑で,非一様性の影響が,2つの定常解の出現とその安定性の変化となって現れ,さらには不安定な時空周期解も出現し,これが非一様な摂動を受けた進行フロント解の通過,停止,反射のセパレータ(分水嶺解)の役割を果たしていることを明らかにした。さらに,別のタイプの特異点に関しても,数値計算を中心に,非一様性が与える解のダイナミクスの遷移について解析した。
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