Research Abstract |
空間1次元での3成分の反応拡散系(競争系)に現れるフロント進行波解とバック進行波解の相互作用や非一様性との相互作用に関して考察した。手法的には2成分系と同じであるが,数値計算上では,2成分系では現れない現象も幾つか確認している。例えば,2つのフロント進行波解とバック進行波解を1次元数直線上に離れて置いたとき,2成分系では互いに反発する動きしか観察されないが,3成分系では物理パラメータの違いによって反発する場合もあれば,逆に互いに引き合う場合も出現する。この現象に関して,中心多様体理論を適用し,その中心多様体上の常微分方程式を解析することにより理論的に解析した。3成分系の中にタイプの違う2成分系がサブシステムとして内蔵されていて,物理パラメータに依存して第3成分がそのサブシステムを切り替えていることが明らかになった。さらに引き続いて,上記のフロント進行波解やバック進行波解と空間的非一様性の相互作用を解析した。競争係数の一部に空間的非一様性を導入し,まず,数値計算でその応答を調べた。その結果,進行波解の通過,反射のみが確認された。理論的な解析を進めるために,3種系に対する進行波解の周りでの線形化作用素,及びその共役作用素の固有関数を構成した。さらに,その固有関数を使って,2成分系と同じように縮約形としての常微分方程式系を導出することは可能であるが,その常微分方程式の係数の定性的な性質を調べることは非常に難しく,今後の課題となっている。 連携研究者は,栄伸一郎(九州大学),小川知之(大阪大学),村川秀樹(富山大学),浅沼照雄(富山大学)の各氏である。
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