2008 Fiscal Year Annual Research Report
条件付確率過程の分布に境界の状態が与える影響の解明
Project/Area Number |
19540129
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
富崎 松代 Nara Women's University, 理学部, 教授 (50093977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 正人 奈良女子大学, 理学部, 准教授 (50271044)
飯塚 勝 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (20202830)
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Keywords | 広義拡散過程 / 広義拡散作用素 / 境界条件 / 調和変換 / マルコフ性 |
Research Abstract |
正則境界で反射壁境界条件を課した場合に、広義拡散過程の標本路の端点への到達時刻を用いて表現される或る条件付分布は、新たなマルコフ過程を導くかという問題を考察した。この条件付分布は、正則境界で吸収壁境界条件を課した場合には、広義拡散過程の調和変換が施された新たな広義拡散過程の分布に一致することが知られており、従って、マルコフ過程を導く。スピード測度関数が右連続かつ増加関数である広義拡散過程のクラスに対して、正則境界で反射壁境界条件を課した場合には、その条件付分布はマルコフ過程を定義しないことを証明し、2007年に研究成果として発表した。しかしながら、そこで用いた手法は、一般の広義拡散過程に対して適用することはできない。特に、応用上で頻繁に用いられる出生死滅過程は広義拡散過程であるが、そのスピード測度関数は非減少であるが増加関数とはならないので、これまでに得られた結果を出生死滅過程に適用することはできない。出生死滅過程に対して、左境界点より先に右境界点に到達するという条件のもとで誘導される条件付確率過程の性質を探るために、集団遺伝学における基本的な確率モデルであるモラン・モデルの性質を境界点の性質に注目して考察した。また、集団遺伝学における遺伝子間相互作用を伴う幾つかの多次元確率モデルにおける境界への初期到達時間に関する解析を行い、その結果を学術論文として公表した。一方、シェルピンスキー・ガスケットと呼ばれるフラクタル格子グラフにおける全域木の一様分布の持つ性質について調べた。この極限分布はある多状態分枝過程として計算することができ、同時にシェルピンスキー・ガスケット上のループ除去ランダムウォークの変位の指数も求めることができた。更に、カードゲームの「神経衰弱」をモデル化した確率ゲームにおける最適戦略について調べ、カード組数の奇偶によって先攻後攻の優劣が変化することを示した。
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Research Products
(5 results)