2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540133
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西山 高弘 Yamaguchi University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60333241)
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Keywords | 特殊関数 / 流体力学 / クーロン波動関数 / 合流型超幾何関数 / オイラー方程式 / 円管ポアズイユ流 |
Research Abstract |
クーロン波動関数は主に量子力学の散乱理論で、また、近年では天体物理学のブラックホールの理論で用いられている特殊関数で、合流型超幾何関数の一つである。流体力学の分野では、C.L.Pekeris[Proc.Nat. Acad.Sci.USA vol.34(1948)p.285]が円管を流れる粘性流体の運動(円管ポアズイユ流)の安定性問題に関連して、変数とパラメータが複素数のクーロン波動関数を初めて用いた。これとは別に、私は、定常オイラー方程式(非粘性非圧縮性流体の定常運動を記述する方程式)の軸対称解がクーロン波動関数を用いて表せることを示し、その解に対するストークス流れ関数が直交関数系を成したり、積分変換の核となることを示した。 本研究の目的は、その直交関数系と積分変換の詳しい性質を調べるとともに、流体方程式の解析への応用を考えること、また、近年得られたクーロン波動関数の性質を用い、Pekerisによる円管ポアズイユ流の安定性の結果を再検討することにある。 本年度では、有界変動関数を上記の直交関数系で展開した後に再合成すると、フーリエ級数と同様、各点の左側極限と右側極限の中間値に収束することを証明し、論文として発表した。証明方法は、ベッセル級数の収束性の証明と同様、複素領域で留数定理を利用し、級数を積分に直して議論するというものだが、クーロン波動関数に含まれるガンマ関数のため、扱いはベッセル関数よりも難しい。また、円管ポアズイユ流の安定性について、微小撹乱の複素位相速度の分布を合流型超幾何関数(クーロン波動関数)の漸近形から説明することを試みた。
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Research Products
(2 results)