2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540137
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内田 雅之 Osaka University, 基礎工学研究科, 准教授 (70280526)
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Keywords | 拡散過程 / 離散観測 / パラメータ推定 / ミススペシフィケーション |
Research Abstract |
高頻度でかつ長時間観測された離散データに対して,確率微分方程式により定義されるエルゴード的拡散過程モデルを仮定して,そのドリフトパラメータと拡散係数パラメータの同時推定を行った.ただし,仮定した拡散過程モデルは(データが従っている)真の拡散過程を含んでいるとは限らない以下2つの一般的状況を考えた. (i)真のドリフトを含んでいるとは限らないが,真の拡散係数を含んでいる場合,(ii)真のドリフトを含んでいるとは限らず,さらに真の拡散係数を含んでいない場合.仮定した拡散過程モデルが真の拡散過程を含んでいる場合はspecified parametric caseと呼ばれるのに対して,(i)や(ii)の場合はmisspecified caseと呼ばれる.エルゴード的拡散過程がspecified parametric caseであれば,局所正規近似に基づいた最大擬似尤度推定量が良い推定量であり,さらにドリフトパラメータの推定量より,拡散係数パラメータの推定量の方が早く収束することが知られている.そこで,(i)と(ii)の場合についても,specified parametric caseと同じ近似尤度関数を用いて最大擬似尤度推定量を構成した.まず(i)について,最大擬似尤度推定量の一致性及び漸近正規性を証明した.また,その収束率はspecified parametric caseと同様になることがわかった.次に,(ii)についても最大擬似尤度推定量の一致性及び漸近正規性を示し,さらに拡散係数パラメータの推定量の収束率はドリフトパラメータの推定量の収束率と同様になることがわかった.つまり,拡散係数を含んでいない場合(completely misspeicied case)においては,拡散係数パラメータの最大擬似尤度推定量は,真の拡散係数を含んでいる場合(specified parametiric case)に比べて収束が遅くなるという新たな知見を得た.
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Research Products
(3 results)