2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540139
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
小守 良雄 Kyushu Institute of Technology, 大学院・情報工学研究院, 助教 (20285430)
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Keywords | 確率微分方程式 / 数値解法 / 数値的安定性 / Weakオーダー |
Research Abstract |
Stratonovich型の確率常微分方程式(SODE)に対するRunge-Kutta法を作成した.硬い(解きにくい)SODEに対して陽的な解法を用いると,数値的安定性の要求から離散時間の刻み幅を非常に小さくしなければならない.その一方で,丸め誤差の影響を考えるなら,刻み幅を極端に小さくするわけにはいかない.この為,計算コストの高い陰的あるいは半陰的な解法が一般に使用される.しかし,問題によってはこれらの解法では計算コストがかかり過ぎている場合がある.例えば,ある種の確率偏微分方程式を離散化して得られるSODEのように,ドリフト係数の固有値が負の実軸周りに分布する問題に対しては,拡張された安定領域を持つ陽的な解法が効果的である.実際,AbdulleとCirilli(SIAMJ.Sci.Comput.,2008)は,強い意味で1次のChebyshev法(陽的Runge-Kutta法の一種)を提案し,上で述べた問題に対して良い性能を持つことを示した.本研究では,彼らの考えを拡張して,弱い意味で2次で,以下の特徴を持つ陽的Runge-Kutta法を導出した. 1. 平均二乗の意味で絶対安定領域が,負の実軸周りに広く,しかも解法の段数を増せば,負の実軸方向に伸びる. 2. 1ステップあたりの計算において,必要とされる擬似乱数の数が少なく,拡散係数の評価回数も少なくて済むので,計算コストが非常に低い. これまでの研究成果を原稿にまとめ,また,4段のRunge-Kutta法から104段のRunge-Kutta法まで,解法のパラメータ値を計算し終えた.後は数値実験を行い,結果を原稿に追加すれば良い.よって,まもなく投稿できるであろう.
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Research Products
(3 results)