2009 Fiscal Year Annual Research Report
多変数関数族の同型問題と多次元数値表データ圧縮問題
Project/Area Number |
19540148
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
明石 重男 Tokyo University of Science, 理工学部, 教授 (30202518)
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Keywords | Hilbertの第13問題 / ε-エントロピー / 重ねあわせ表現 / Kolmogorov-Arnoldの表現定理 / Vituskinの定理 / 強(弱)表現可能性 / 強(弱)表現不可能性 |
Research Abstract |
1.当該年度に実施した研究の成果 1-1.具体的内容 完全不連結コンパクトHausdorff空間上で構成される対称的ε-拡大的力学系族の同型問題 上記力学系の代表的例として、記号力学系を挙げることができるが、『全ての完全不連結コンパクトHausdorff空間上で構成されるε-拡大的力学系が、記号力学系に位相幾何学的に埋め込み可能であること』は知られていた。明石と児玉は、この研究結果を用いて、上記記号力学系族に関する同型問題の完全不変量を開発した。 Kolmogorov-Arnoldの表現定理とVituskinの定理との整合性 Kolmogorov-Arnoldの表現定理は、『多変数連続関数が1変数連続関数の和の形で表現され得る』ことを示した表現定理であり、Vituskinの定理は、『3変数有限回微分可能関数族が2変数有限回微分可能関数族を用いても強表現不可能であること』を示したものとして知られる。児玉と明石は、上記研究結果を組み合わせることにより、『Koomogorov-Arnold表現で用いられた分解関数が、連続であるが殆どいたるところ微分不可能であること』を示した。 1-2.意義と重要性 数学的構造が位相同型であるか、もしくは代数同型であるかなどを調べる問題を『同型問題』と呼び、同型写像を構築しなくても、判定できる評価量を不変量と呼ぶ。本研究では、記号力学系を抽象化して得られた上記力学系から構成される同型問題の不変量を、Godel数を応用して開発した点、更にその不変量が完全性を保持していることを見出した点が有意義であると思われる。 多変数関数族の重ねあわせ問題は、近年数値表データ圧縮と関係して注目されてきているが、その実現には、『分解関数』と呼ばれる『多次元データから1次元データへの単射的写像』を見出すことが必要であった。本研究では、『微分可能関数族を用いて分解関数を構成することはできない』ということを示した点で、上記問題に否定的解答を与えた点が重要であると思われる。
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Research Products
(6 results)