2007 Fiscal Year Annual Research Report
超幾何積分の新しい一般化の研究、モジュラー性の観点から
Project/Area Number |
19540158
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 文彦 Kitami Institute of Technology, 工学部, 准教授 (20274433)
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Keywords | テータ函数 / ツイストコホモロジー / Wirtinger積分 / モジュラー変換 |
Research Abstract |
1.2007年度に出版された論文,H. Watanabe, Twisted homology and cohomology groups associated to Wirtinger integral, J. Math. Soc. Japan,59(2007),1067-1080,ではツイストコホモロジーの観点からWirtinger積分の構造を調べた.与えられた分岐を持つ局所系から最大いくつの一次独立な積分が作れるか(いいかえれば方程式を立てることなくみたす線型微分方程式の階数の上限はいくらか)といったメカニズムが明確になり,Wirtinger積分の一般化の手順がこれで明確になった. 2.2007年度に印刷されたプレプリント,H. Watanabe, Linear differential relations satisfied by Wirtinger integrals, Hokkaido Univ. Preprint Ser. in Math.851(2007),ではWirtinger積分のみたす微分方程式をツイストコホモロジーの観点からテータ函数論をもちいて導く導き方を明らかにした.ここでの導出法は,Wirtinger積分の一般化に対しても応用可能な相当に整理された導出法であると思われる. 3.Wiritinger積分のモジュラー性と接続問題の関係については以前の研究で指摘したとおりであるが、この観点を発展させ、Wirtinger積分が一般モジュラー変換でどのような変換則をもつかということは興味深い.これは2007年度に計算が完了し、別記のとおり9月に学会報告をおこなった.論文は準備中. 4.Wirtinger積分の一般化,とくに項目1.や2.に相当する結果を得るためには,テータ函数の加法公式を整備しておく必要がある.具体的には3等分点に対する9つのテータ函数に対し必要となるであろう加法公式を2007年度までにほぼ得,3等分点で分岐する局所系に対するツイストコホモロジーの計算の一歩手前まで達した感がある.
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