2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540170
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菱田 俊明 Nagoya University, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (60257243)
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Keywords | 非圧縮粘性流体 / Navies-Stokes方程式 / Stokes方程式 / 外部領域 / 回転物体 / 並進物体 / 漸近挙動 / 安定性 |
Research Abstract |
3次元空間にひろがる非圧縮粘性流体の中に剛体の障害物がある.この研究の目的は,物体の運動と流体の運動の相互作用の解析である.流体の運動はNavier-Stokes方程式により記述され,一方で剛体の運動は並進と回転に分解されて,それらは運動量と角運動量の保存則から導かれる微分方程式により記述される.本年度も引き続き,物体の運動が指定されていて回転角速度が一定で並進はしない場合に,解の存在,一意性,漸近挙動,漸近形を詳しく調べた.回転座標系により一定な外部領域での問題に書き直すとき,剛体の回転速度ベクトルを係数とする移流項が現れるが,その係数の非有界性により,この移流項を粘性項からの摂動として扱うことができない.この点が当問題の最大の特徴である.まず,この方程式の線型部分が生成する半群のLebesgue空間およびLorentz空間での減衰評価を導出した.これの第一の応用として,小さい定常解の安定性を証明した.次に,第二の応用として,小さい時間周期解を構成し,その安定性も示した.いずれの場合に対しても,擾乱の最適な減衰の速さを導いた.さらに,定常解の空間無限遠での減衰構造を求めた.回転の効果により引き起こされる異方的な漸近形を求めることを通して,解の形において回転軸が果たす重要な役割を明らかにした.まず,基本解の詳細な解析により線型定常解を空間無限遠で漸近展開して,その第一項と第二項を求めた.次に,その知見をもとにして,非線型定常解に対しても第一項を求めることができた.それは通常のNavier-Stokes方程式の回転軸対称な自己相似解であり,明示的な表示をもつものである.
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Research Products
(3 results)