2007 Fiscal Year Annual Research Report
振動型積分作用素理論とそのFeynman経路積分への応用
Project/Area Number |
19540175
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
一ノ瀬 弥 Shinshu University, 理学部, 教授 (80144690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 充 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (60196756)
廣島 文生 九州大学, 数理学研究科, 准教授 (00330358)
熊ノ郷 直人 工学院大学, 工学部, 准教授 (40296778)
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Keywords | Feynman経路積分 / 振動型積分作用素 / 電子電磁気学 / 光子の定常状態表現 / クーロンカの発生の数学的証明 |
Research Abstract |
平成19年度の研究計画は以下の通りであった。一ノ瀬は、量子電磁気学のFeynman経路積分による数学的定式化の研究、及び量子連続測定理論の数学的定式化の研究を行う。杉本及び熊ノ郷は、振動型積分作用素の有界性定理の研究を行う。廣島は、量子電磁気学のPauli-Fierzモデルに対する研究の、経路積分への応用の研究を行う。 研究の実施は概ね成功したが、未完成の部分もあった。以下具体的に記す。 一ノ瀬は、物理で行われているFeynman経路積分による量子電磁気学の、数学的定式化の研究を行なった。物理で用いられている拘束条件を用い、十分大きな箱上で周期的な条件を置き、更に光子の振動数の高い部分を切断(紫外切断)するという仮定の下で、Feynman経路積分の収束を証明した。又、位相空間経路積分を用いることにより上記の拘束条件なしに、量子電磁気学が定式化できることも数学的に証明した。又、光子の生成、消滅演算子を具体的に微分作用素として導入し、これを用いて光子の定常状態の具体的な表示を与えることに成功した。更に、量子電磁気学では、荷電粒子間にクーロンカが自然に働くことも数学的に証明することが出来た。これ等の研究成果を纏め、Review in Mathematical Physicsに現在投稿中である。 これ等の研究は、現在まで量子電磁気学のFeynman経路積分の数学的研究が今まで殆どなされておらず、フロンティア的価値が高いと思われる。又、これらの研究結果は、Lambシフトや原子の遷移確率の計算等、今後の量子電磁気学の数学的研究の基礎となる研究成果である。 これ等の研究成果は、10th Quantum Mathematics International Conference(Moeciu, Roomania)、第14回「超局所解析と古典解析」(和歌山市)、The international conference" Function spaces in the differential equcotiens"(大阪大学)で発表された。 熊ノ郷、杉本及び廣島は、各々の研究分担を行い、一ノ瀬の研究成果の獲得に貢献した。
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