2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540182
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
杉江 実郎 Shimane University, 総合理工学部, 教授 (40196720)
|
Keywords | 半分線形微分方程式 / 振動定理 / 非振動定理 / 線形微分方程式系 / 一様安定性 / 漸近安定性 / ハミルトン系 / フロッケ理論 |
Research Abstract |
・2つの係数をもつ半分線形微分方程式を扱い,それら係数によって描かれる曲線の位置によって,すべての解が振動するか否かを判定する条件を与えた。得られた結果は係数に関する積分条件で表現しないことが従来の研究と大きく異なる点である。 ・周期係数をもつ半分線形微分方式のすべての解が振動しないための十分条件を与えた。結果はリッカチ手法を用いて証明した。また,周期係数をもつ線形微分方程式のすべての解が振動するための十分条件も与えた。これらの結果は線形微分方程式に対して知られていた従来の事実を拡張するものである。 ・零に収束する係数をもつ非線形分方程式のすべての解が振動しないための判定基準を与えた。その基準によって係数の収束速度と非線形項の増大率との関係が明確になった。また,この結果はエムデン-ファラー方程式に関して既に報告されていた数多くの非振動定理を拡張した。 ・関数行列を用いて表現される2次元線形微分方程式系の零解が漸近安定になるための十分条件を与えた。ここで,行列の各成分は正であるとは限らない。この行列を対角成分と歪対角成分に分け,歪対角成分がこの線形微分方程式系の零解の漸近安定性に及ぼす影響について議論した。 ・時間に伴って変化する係数をもつ3次元線形微分方程式系の零解が一様安定かつ漸近安定になるための十分条件を与えた。また,その拡張として,ハミルトン系を内包する非線形微分方程式系の零解の一様安定性と漸近安定性について議論を進めた。 ・関数行列を用いて2次元線形微分方程式を表現したとき,その歪対角成分が周期関数である場合を考え,零解が漸近安定になるための十分条件を与えた。歪対角成分とともに対角成分も周期関数である場合は,フロッケ理論と計算機による数値解析によって,零解が漸近安定であるかどうかを判定できることがよく知られている。しかし,歪対角成分だけが周期関数であっても,フロッケ理論を用いることはできない。その意味で,本研究で得られた結果はフロッケ理論を補完するものである。
|
Research Products
(17 results)