2008 Fiscal Year Annual Research Report
角がある境界を持つ領域における弾性表面波の散乱に対する解析法
Project/Area Number |
19540183
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川下 美潮 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 准教授 (80214633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盛田 健彦 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00192782)
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Keywords | 散乱理論 / 弾性表面波 / 角を持つ領域 |
Research Abstract |
この研究における当初の目標は角を含む境界を持つ領域における波の散乱現象を解析する有効な方法を確立することにある。これまで我々は弾性表面波(主に弾性体の境界上に沿って伝わっている波のこと)に対する散乱理論の定式化に沿った弾性表面波の散乱問題に対する研究に取り組んできた。 ここで得た知見を下に、角などの特異性を持つ境界上を伝わる弾性表面波の散乱理論についての考察を、大きく分けて次の観点から考察することを計画した。 (1)弾性表面波の散乱現象を記述する物理量の有効な表示方法について。 (2)角などの境界における特異性が弾性表面波に与える影響を取り出す方法について。 今年度は前年度までに研究した境界がなめらかで角がない場合の弾性表面波の散乱問題に対する検討結果を踏まえ、2次元の場合の考察を行ってみた。2次元における角がある場合でも今のところこの問題に適用可能と思われる表示は基本的に角が1つで境界が直線になっている場合でないと得られていない。前年度に得た課題であった散乱理論の構成については関数空間の設定を変えることによりほぼ同様に可能であるという感触は得た。しかし弾性表面波の散乱問題を表している物理量を数学的に取り出せばよいかという問題についてはまだ有効な手だては見いだせていない。弾性方程式に特有の難しさがあるように感じている。定常問題の反射現象から考えた方が有効では思い、現在思案中である。 本研究課題のもう一つの主題は漸近解析である。近年、代表者が過去に考えた問題の1つである波動方程式の解の局所エネルギーに関する減衰評価について意外な発展があった。それは波動方程式自身を直接扱って漸近評価を行うというものであり、漸近問題として考えるべきことであった。これについては非線形問題に関連した基本的な重み付きエネルギー評価を時間に依存した方法だけにより拡張できた(現在投稿中)。この知見を本研究課題遂行のために生かしたいと思っている。
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