2009 Fiscal Year Annual Research Report
角がある境界を持つ領域における弾性表面波の散乱に対する解析法
Project/Area Number |
19540183
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川下 美潮 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 准教授 (80214633)
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Keywords | 散乱理論 / 弾性表面波 / 角を持つ領域 |
Research Abstract |
この研究における当初の目標は角を含む境界を持つ領域における波の散乱現象を解析する有効な方法を確立することにある。これまで我々は弾性表面波(主に弾性体の境界上に沿って伝わっている波のこと)に対する散乱理論の定式化に沿った弾性表面波の散乱問題に対する研究に取り組んできた。ここで得た知見を下に、角などの特異性を持つ境界上を伝わる弾性表面波の散乱理論についての考察を、大きく分けて次の観点から考察することを計画した。 (1) 弾性表面波の散乱現象を記述する物理量の有効な表示方法について。 (2) 角などの境界における特異性が弾性表面波に与える影響を取り出す方法について。 今年度は最終年度であった。これまでの研究で得た感触を再検討し、2次元の波動方程式に限定し考察し直してみた。散乱理論の設定はほぼ可能であることは分かった。一方、散乱問題において現れる物理量を具体的に取り出すことは困難が伴い、満足行く結論は今の段階では得られなかった。しかし今回の研究経験を踏まえて、検討する余地があることも理解できた。この研究を行うには少し時期尚早の感があったことは否めない。機が熟するのを待ち、改めて取り組んでみたいと思っている。 本研究課題のもう一つの主題は漸近解析であった。これについては次の2つの成果があった。一つは波動方程式の解の局所エネルギーに関する減衰評価について、波動方程式自身を直接扱って漸近評価を行うという漸近問題についてである。もう一つは境界値逆問題に現れる漸近解析の問題についてである。これらについては本研究課題を行う際の思いがけない副産物として得られたものでもある。これらの知見を今後の研究に生かしていきたいと思っている。
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Research Products
(4 results)