2007 Fiscal Year Annual Research Report
消散作用素のスペクトル構造と消散系の重ね合わせの原理に関する研究
Project/Area Number |
19540189
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
門脇 光輝 Ehime University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70300548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 宏 愛媛大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90243005)
渡辺 一雄 学習院大学, 理学部, 助教 (90260851)
中澤 秀夫 千葉工業大学, 工学部, 助教 (80383371)
望月 清 中央大学, 理工学部, 教授 (80026773)
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Keywords | 平行平板間領域 / 消散項付き波動方程式 / 散乱解 / 消散解 / スペクトル / 敷居値 / Helmholtz方程式 |
Research Abstract |
平行平板間領域で無限遠方において零になる消散項付き波動方程式を考え、その散乱解および消散解の存在について幾つかの成果を得た。散乱解とは、解が時間発展した場合に消散項がない通常の波動方程式に漸近する解を指す。また、消散解は時間発展に伴いエネルギーが零となる解を指す。なお、境界条件はDirichlet-DirichletまたはNeumann-Neumannを仮定した。平行平板間での波動伝播問題で問題になるのは生成作用素のスペクトルにおける敷居値の存在である。通常の波動方程式からの摂動項が自己共役であれば、敷居値の存在は(特に散乱問題を扱う場合)それほど大きな困難ではない。しかし、摂動項が非自己共役の場合には扱い・解析を困難にする。 1. 数学的結果空間次元4以上ならば消散項の減衰オーダーが-2以下で、空間次元3ならば消散項の減衰オーダーが-2未満でそれぞれ散乱解の存をしめした。証明は、Katoのsmooth perturbation theory(1966)を用いたMochizukiの方法(1976)による。証明において、重要になるのは消散項なし波動方程式に対するHelmholtz方程式の解のスペクトルに関するある種の評価を得ることである。これを得るためには敷居値の近傍ではやや注意深く評価する必要がある。そして、消散項の減衰は、敷居値が現れない系の多くが-1未満の場合に散乱解の存在が示せるのに対して、敷居値の影響で制限が付く結果となった。 2. 計算機による結果1では物理的に意味のある空間次元2の場合は結果を得ることができていない状況である。そのため、計算機による数値実験を行った。その結果、特殊な初期条件に対してであるが、消散項の減衰オーダーが-1未満で散乱解(非消散解)らしき振る舞いをする解が、減衰オーダーが-1以上で消散解らしき振る舞いをする解を得た。これらは計算機にものであり、十分に時間発展した状況ではないので、完全な結果とは言いがたい面もある。しかし、2次元においては減衰オーダー-1が散乱解を主流とする系と消散解を主流とする系を分かれていることを予想させる結果であると思われる。
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Research Products
(3 results)