2009 Fiscal Year Annual Research Report
消散作用素のスペクトル構造と消散系の重ね合わせの原理に関する研究
Project/Area Number |
19540189
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
門脇 光輝 Ehime University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70300548)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 一雄 学習院大学, 理学部, 助教 (90260851)
中澤 秀夫 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (80383371)
|
Keywords | 半空間自由境界弾性波 / レゾルベントの漸近展開 / P波とS波 / Rayleigh波 / 固有作用素(関数)展開定理 / 消散作用素 |
Research Abstract |
半空間自由境界(Neumann条件)弾性波のレゾルベントの空間遠方の漸近展開を地震波などの物理的現象に基づくDermenjian-Guillot(1988)の一般化されたFourier変換を用いて決定・記述した。 地震波などの本によると固有関数系はP波(縦波)入射に対するP波+S波(横波)反射、S波入射に対するS波+P波の反射、S波入射に対するS波+表面波反射、S波入射に対するS波反射を表す関数系、そして表面波(Rayleigh波)のみを表す関数からなる。ここで得られている結果は、入来レゾルベントの漸近展開はすべての入射波と表面波を用いて記述されているのに対して、出行レゾルベントはS波入射に対する表面波反射を除いたすべての反射波と表面波で記述されている。 全空間Laplacianに対するレゾルベントの漸近展開は、そのグリーン関数が特殊関数で記述されることを用いて決定することが多い。しかし、半空間弾性波の場合は、レゾルベントに対するグリーン関数が単純に記述できないために、全空間Laplacianに対するのと同じ方法で扱うことは困難であった。そこで、レゾルベントをAgmon-Kato-Kurodaの方法であるような極座標を用いた積分に書き下した上、定常位相の方法と留数計算を適用することで計算した。なお、定常位相の方法を用いる部分に関してはMatsumuraやWilcoxをはじめとした何人かの数学者が類似の議論を既に行っている。 Yafaev(1991)はレゾルベントの空間遠方の漸近展開から固有作用素(関数)展開定理を証明している。そこで扱われていたのは自己共役作用素であったが、この議論を消散作用素に適用することは有効と思われる。上記の結果は消散境界条件を持つ弾性波を扱う際の基礎結果になりうるものである。
|
Research Products
(8 results)