2007 Fiscal Year Annual Research Report
エルゴード理論との相互関係に着目したフォンノイマン環の研究
Project/Area Number |
19540206
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山ノ内 毅彦 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 准教授 (30241293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 晶孝 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00128597)
青井 久 山梨英和大学, 人間文化学部, 助教 (90396276)
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Keywords | フォンノイマン環 / 因子環 / エルゴード理論 / 同値関係 / 通約可能性 / ヘッケ環 |
Research Abstract |
本年度は、測度付きエルゴード同値関係から構成されるフォンノイマン環と、その部分同値関係との相互関係を、分担者である青井氏との以前の共同研究で導入した「通約可能性」という概念の観点から研究を行った。 具体的には、エルゴード同値関係Rにおいて、あるエルゴード部分同値関係Sが通約可能的であるとき、対応するフォンノイマン因子環Aとその部分因子環Bに注目し、これらのジョーンズタワーB⊂A⊂P⊂Qとその相対可換子環B'∩P、A'∩Qの解析を集中的に行った。その結果として、注目する同値関係Rとその通約可能的部分同値関係Sが、ある群・部分群の測度空間上への作用として実現されているときには、同値関係の通約可能性は対応する群・部分群の数論で言うところの通約可能性に完全に一致し、さらに付随する相対因子環A‘∩Qは数論におけるヘッケ環に一致していることを証明することに成功した。このことは、フォンノイマン環とエルゴード理論との相互関係に着目した我々の独自の研究が、数論という全く違った分野の数学と密接な繋がりを持つという、当初予想もしなかった事実を明らかにすることができたという点で非常に意義深い。このように、本年度の研究を通して、数論で重要な役割を果たすヘッケ環の一般化の理論を作用素環論の範疇で構築することができたので、来年度からの研究計画として、この同値関係の枠組みでの通約可能性の研究を分担者と共に強力に推進させていく予定である。その1つの方向性として、上で拳げたヘッケ環A'∩Qにおいてモジュラー理論を展開することを考えている。
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