2008 Fiscal Year Annual Research Report
幾何学的変分問題の解の安定性と大域的性質に関する研究
Project/Area Number |
19540217
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
小磯 深幸 Nara Women's University, 理学部, 教授 (10178189)
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Keywords | 非等方的表面エネルギー / 非等方的平均曲率一定曲面 / 平均曲率一定曲面 / unduloid / 国際研究者交流 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
曲面上の各点における法線方向に依存する表面エネルギーの曲面上での総和(積分)を非等方的表面エネルギーと呼ぶ。これは、たとえば結晶やある種の液晶などのエネルギーの数学的モデルを与える。曲面が囲む体積を変えない変分に対する非等方的表面エネルギーの臨界点を非等方的平均曲率一定曲面(以下ではCAMC曲面と略記する)と呼ぶ。CAMC曲面の研究は、物理化学、結晶学、冶金学、生物学などへの応用もある重要な研究課題である。特にエネルギー汎関数が等方的である場合の臨界点は平均曲率一定曲面(以下ではCMC曲面と略記する)であり、CAMC曲面の特別な場合となっている。 1.平行な二平面上に自由境界をもつ曲面に対する非等方的表面エネルギーの極小解の一意性について研究した。エネルギー汎関数が等方的である場合には安定解は短い円柱、半球面、球面に限ることが知られているが、非等方的表面エネルギー密度の与え方によっては、unduloidがエネルギー極小解を与える可能性があることを、数値実験により発見した。 2.平行な二平面上に自由境界をもつ曲面に対する「非等方的表面エネルギー+支持平面での濡れエネルギー+曲面の境界のline tension」の臨界点について研究し、次の研究成果を得た。 (1)非等方的表面エネルギー密度が回転対称であり、line tensionが非負の場合には、最大値原理の応用により、自己交差をもたない臨界点は回転対称となることを証明した。 (2)非等方的表面エネルギー密度が回転対称とは限らないより一般の場合について、line tenisionが正の場合にはシュワルツ対称化が適用できることを証明し、このことを用いて、臨界点の安定性を判定する方法を得た。
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