2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540225
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
石崎 克也 Nippon Institute of Technology, 工学部, 教授 (60202991)
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Keywords | 差分方程式 / q-差分方程式 / Schroeder方程式 / Nevanlinna理論 / 複素力学系 / Valiron-Mokhonkoの定理 / Semiconjugate / Factorization |
Research Abstract |
複素平面上で離散的函数方程式の超越的有理型解の性質を考察しました。離散的函数方程式の場合は複素微分方程式の解と類似の性質を持つ場合と,全く異なる性質を持つ場合があります。今年度は,の合成(Factorization)についての性質を値分布理論を用いて考察しました。代数的複素微分方程式においては,超越的有理型解が二つの超越函数の合成の形に書けるのであれば,それぞれの因子もまた代数的複素常微分方程式を満たすことが知られています。これは,1980年代のSteinmetzの結果によりどころをおいています。しかしながら,この方法は、離散的函数方程式の解については必ずしも適用可能ではなく新たな試みが必要とされました。ここでは、q-差分方程式・Schroeder方程式などを対象にEremenko and Rubelによってなされた右側共通因子定理の適用を試みました。 離散的函数方程式の解の存在定理についての研究を進めました。今年度は複素力学系に関わりの深い合成型の函数方程式f(G(z))=R(f(z))を対象に調べました。ここで,G(z),R(z)は多項式です。得られた結果は,G(z)の固定点の近くでの局所的な解の存在と,多項式解の構成をしました。実際に,この函数方程式には超越整函数解は存在しないことが知られているので,解の存在については多項式解の自由度を調べることが残された課題となります。 また,上記の大域的解の存在は、複素力学系理論ではG(z)とR(z)が共役であることを意味しています。このとき、G(z),R(z)のJulia集合の間に関係があることがBergweiler and Hinkkanenによってしめされています。多項式解を具体的に構成することでこの関係を可視化することも試みました。
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Research Products
(2 results)