Research Abstract |
研究代表者谷口は,昨年度に引き続き,可換微分作用素系に関連した話題として,リー群の表現の行列成分を特徴付けるような微分作用素系について研究を行った.特に,半単純リー群のWhittaker関数の空間の中で,普遍包絡環の中心元の固有値,および岩沢幕単根基の指標の中心化群の表現を指定した,「標準的Whittaker模型」と呼ぶべきものを考え,その構造の解析に着手した.今年度はまず,比較的扱いやすい場合として,群がSL(2,R)とSU(2,1)の場合について詳しく調べ,「標準的Whittaker模型」の組成列を決定した.その結果,この模型と主系列表現の組成列の構造について,類似する点と大きく異なる点が明らかになり,一般の群の場合の解析へ向けて,足がかりを作ることができた. 連携研究者伊藤は,メルボルン大学P.J.フォレスターとともに,セルバーグ型超幾何関数が満たす二項間隣接関係式を導出することで,その超幾何関数が満たす連立一階差分方程式系の具体形を明らかにした.その応用として,物理におけるセルバーグ型一点相関関数の新たな計算法を示した. 連携研究者小池は,B型,C型ワイル群と1の幕根で生成される群(この群についてはヤング図形を用いた表現の決定等はすでに行っている)の変形である,多変数パラメータを持った「ヘッケ環」と呼ぶべきものの定義と,この間の表現論の構成を研究した.
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