2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540230
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村上 順 Waseda University, 理工学術院, 教授 (90157751)
|
Keywords | 結び目理論 / 3次元多様体 / 量子群 / 表現論 / 組紐群 |
Research Abstract |
本研究では,最も簡単な単純リー環s12に対応する量子群について,その量子化パラメータqが1の〓根の場合についての表現論と,それに対応する結び目や3次元多様体の量子不変量についての研究を行った.このような不変量として,カラードジョーンズ不変量や,ウィッテン・レシェティヒン・トラエフ不変量が20年程前から知られていたが,ジュネーブ大学のカシャエフ教授が,結び目補空間の双曲体積と関係する新たな量子不変量を構成した.本研究では,このカシャエフの不変量を,3次元多様体や3次元多様体中の結び目の不変量に一般化することを目標とした. 一般化するための最初のステップとしてカラードアレキサンダー不変量に注目した.この不変量は,カシャエフの不変量の変形と見なせるもので,補空間を変形したものの体積と対応することがわかってきた.また,量子群のホップ代数としての性質に注目して構成されたヘニングス不変量を一般化することで3次元多様体中の不変量を構成し,これをもちいてカシャエフの不変量が一般の3次元多様体中の結び目にも一般化できることがわかってきた. さらに,カラードアレキサンダー不変量の構成でつかわれる量子群の非整ウェイト表現から量子6j記号を定義し,その準古典極限が双曲四面体の体積になることがわかった.もともと6j記号の研究は量子重力の研究から始まったが,今回明らかになったこの体積との対応は,この非整ウェイト表現に対応する量子6j記号が,量子化された体積,あるいは量子化された重力というものの研究に非常に役立つことを期待させる.
|