2007 Fiscal Year Annual Research Report
非線形強分散系のベンジャミン-フェイル型不安定性の研究
Project/Area Number |
19540232
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
大宮 真弓 Doshisha University, 工学部, 教授 (50035698)
|
Keywords | 非線形強分散系 / 変調不安定性 / 保存則 / 跡公式 / 散乱理論 / 非線形拡散系 / イジングモデル / 相転移現象 |
Research Abstract |
サイン-ゴードン方程式や非線形シュレディンガー方程式に代表される強分散系の不安定現象を研究する過程で、不安定性を定量的に評価するために可積分系の保存量のスペクトル論的意味合いを研究したところ、上記の系よりも分散性の弱い、所謂、弱分散系であるところのKdV方程式の保存則のスペクトル論的解釈を発見した。また、離散スペクトルが存在しない場合に、連続スペクトルと保存量の関係を詳しく調べたところ、保存量に関する新しい知見を得た。また上記の結果の証明方法を改良し、スペクトル保存系であることだけから証明することに成功した。 他方、ソリトン現象、非線形拡散現象、Benjamin-Feir型不安定性等の非線形現象に特有の現象の発生する原因を探るため、方程式の空間変数だけ差分化して得られる常微分方程式系を結合振動子として考察し、同期現象や引き込み現象の観点から見直す試みを開始し、現時点では数値解析的に限定されるが、一定の知見が得られた。 さらに、Benjamin-Feir型不安定性をある種の臨界現象、あるいは相転移現象とみなして、もっと構造の良く分かっている離散力学系に関して同様の考察を始めた。離散力学系としては磁化モデルであるイジングモデルを少し一般化したSznajdモデルをさらに変形したものを考察した。ネットワーク科学におけるスケールフリー性やスモールワールド性を取り入れて、ファイナンス理論への応用を視野に入れつつ、数:値的考察を中心に研究を進めている。
|