2008 Fiscal Year Annual Research Report
非線形強分散系のベンジャミン-フェイル型不安定性の研究
Project/Area Number |
19540232
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
大宮 真弓 Doshisha University, 生命医科学部, 教授 (50035698)
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Keywords | 非線形強分散系 / 保存量 / 多重粒子系 / 不安定現象 / 同期現象 / ネットワーク / スピンモデル / 相転移現象 |
Research Abstract |
不安定性を考察するに当たって最も重要になる、非線形分散系の保存量の研究を進めた。従来、保存量は、離散スペクトルを中心に考えられていたが、Deift-Trubowitz型跡公式を用いて保存量の局所密度を表現する事により、連続スペクトルの保存量に対する意味が明らかになった。さらに、多重粒子系と分散系の関連を考察し、多重粒子系の同期現象と、対応する連続分散系におけるソリトン現象との関連を数値解析的に研究した。結果として、蔵本の秩序変数を用いて同期現象を定量的に評価することに成功した。また、分散系や拡散系は、数学的には発展方程式として閉じた形で表されているものを解析するのが普通であるが、自然現象を解析する立場としては、不自然であると感じ、多重粒子系の分散性、あるいは拡散性のような性質を統計的に判定するスキームの改良を行った。他方、自然現象に留まらず、経済現象における相転移、あるいは臨界現象を考察する為にネットワーク化されたスピン系を考察し、マーケットモデルの構築を行った。これは、ネットワーク・スピンモデルの不安定現象であり、ある種の非線形性と分散性が背後にある事が明らかになりつつある。 さらに非線形波動理論全体の中における不安定現象の位置づけを探るために、非線形波動に関する著書を執筆、刊行した。また、現在、ソリトン方程式のもう一つの特徴である可積分性に関する専門書籍を執筆中で、次年度中には上梓の予定である。これはSine-Gordon方程式のベンジャミン-フェイル型不安定性の場合に使ったフロケ理論の考察の中心になる理論で、不安定性の研究でも重要なものである。
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