2009 Fiscal Year Annual Research Report
非線形強分散系のベンジャミン-フェイル型不安定性の研究
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19540232
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
大宮 眞弓 Doshisha University, 生命医科学部, 教授 (50035698)
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Keywords | 強分散系 / 定常KdV階層 / 第一積分 / 跡公式 / ネットワーク化イジング模型 / 臨界現象 / スモールワールド / 時系列変動モデル |
Research Abstract |
強分散性の特徴付けに関する研究過程で、分子、原子レベルのミクロな現象と流体等のマラロな現象を結ぶBaby-Bathwaterスキームの数値的研究を行い、一定の成果が得られた。特に、系の分散性判定はかなりの精度で行える事が分かった。これは実験データから数理モデルを構成する際に、威力を発揮する事が期待される。 同時に、非線形系に特有の臨界現象の理論を、株式市場の価格形成メカニズムモデルの構成に応用し、ネットワーク化されたイジング模型においてネットワーク構造を時系列的に変化させるAR-βモデルを提唱し、数値実験によりスモールワールド現象の関連を明らかにした。 強分散系の不安定現象を調べるに当たって、保存量の研究を集中的に行い、KdV方程式の、従来知られていなかった保存量(第一積分)を、Appellの補題を応用して構成する事に成功した。これは、解をポテンシャルに持つ1次元シュレディンガー作用素の連続スペクトルの情報が深く関連する保存量で、かつ、微分多項式では表されないもので、不安定現象の研究において重要な働きをするものと思われる。 さらに、KdV方程式およびその高階化の発展方程式の保存量の背景にある、対応する定常方程式の第一積分を代数的に構成する方法を研究した。その中で、定常方程式が、ある種の跡公式と密接に関連している事を明らかにし、有名なNovikovの定理の初等的証明に成功するとともに、第一積分を系統的に構成する事にも成功した。
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