2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540238
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本原 顕太郎 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (90343102)
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Keywords | 銀河形成 / 近赤外線 / サブミリ波 / 広視野撮像 |
Research Abstract |
本年度は、まず4月にすばるMOIRCSによる分光フォローアップを行った。これにより、とくに比較的暗い(低星質量)BzKの分光データを取得した。また、UKIRT/WFCAMによる観測提案が採択され、2010年3月に2夜半にわたる観測を行った。天候は一部不順であったが、可視視野のおよそ50%で十分な深さで1.25μm帯(Jバンド)での撮像データを取得することに成功した。さらに2010年4月にも2夜の観測が予定されており、最終的に全視野の70%以上で深い近赤外線J,H,Kバンド(1.25-2.2μm)のデータが揃う。これにより、特にz=1-2での精度の高い測光赤方偏移の導出が可能となる。 また、2009年3月に取得した1.65μm帯のデータの解析を行い、他バンドのカタログと統合した。このデータ解析のために高速の外付RAIDディスクを購入した。このカタログにより測光赤方偏移を導出し、さらに銀河スペクトルフィットを行った。結果、受動的進化段階にあるz=1-2の銀河が、小質量のものについてはこれまで考えられていたよりも数倍から一桁以上多く存在している可能性が示された。更に、2008年度に取得したASTE/AzTECによるサブミリ波1.1mmマップのデータ処理を完了した。このマップ内でz=1-2の星形成銀河(sBzK)のスタッキング解析を行った結果、1.1mmでの検出に成功した。これより得られる遠赤外線星形成率はほぼ星質量に比例するが、星質量が1e11太陽質量を越えたあたりで頭打ちとなっていることが明らかになった。この兆候は可視赤外線のスペクトルフィットの結果にも見られており、既にz=2で大質量銀河が受動的進化段階に入りつつあることを示している。銀河進化を考える上で重要な示唆を与える結果である。 また、これらの成果を各種学会、研究会で発表、論文として公表した。
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