2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540240
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
定金 晃三 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 教授 (20110794)
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Keywords | わい小銀河 / 化学進化 / 高分散分光 / 化学組成 |
Research Abstract |
本研究の主題である、ろくぶんぎ座わい小銀河(Sextans Dwarf Galaxy)の6個の金属欠乏星についてすばる望遠鏡による高分散分光観測の研究が完成し、論文が出版された(Aoki et al. 2009, AA, 502, 609)。主な結論は、1)この銀河には極端な金属欠乏の星([Fe/H]<-3.0)が存在しないことが確認された、2)6個の星のうち1個は我々の銀河系ハローにある星と同様にマグネシウム(Mg)の過剰を示すが、残り5個についてはMg/Fe組成比が太陽とほぼ同じであることが分かった、3)6個の内4個の星ではバリウム(Ba)が不足しているが、残り2個では過剰である。2番目の結論は、金属欠乏星の中でMg/Fe組成比が低い天体が存在することの始めての確認である。また、カルシウム(Ca)およびチタン(Ti)の過剰組成を示す証拠は見つからなかった。これらの特徴を基に、わい小銀河の形成史について論じた。ろくぶんぎ座わい小銀河の星の中で特異な組成を持つことが明かとなったS15-19という天体を、2010年2月にすばる望遠鏡によって追加観測を行い、青波長域のデータを得ることができたので現在鋭意解析中である。 これとは別に、同じくすばる望遠鏡を用いて、特異な新星V1280 Sco(Nova Sco 2007 No.1)の高分散分光観測を行い、NaID線に青方に変移した多数の鋭い吸収線を見出し、これらは過去の爆発で放出されて膨張しつつある低温のガスに起因するものであることを発見した。
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Research Products
(5 results)