2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540240
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
定金 晃三 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20110794)
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Keywords | 天文学 / 恒星分光学 / 化学組成 / 銀河系進化 / わい小銀河 |
Research Abstract |
ろくぶんぎ座わい小銀河の金属欠乏星S15-19の詳細な分光解析を行い、この星ではバリウム(Ba)が太陽の組成に比べて異常なほど(約10倍)過剰であること、炭素(C)も10倍ほど過剰であること、ストロンチウム(Sr)は30分の1ほどと不足していることなどを発見した。一方、重い中性子捕獲元素であるユーロピウム(Eu)の組成には異常は認められなかった。この星には視線速度の変化が見られることから、連星系をなしていると考えられ、観測された組成の異常は相手の星から炭素やBaに富んだ物質が流入した結果として起きているのではないかとの仮説を提案した。 ヨーロッパ南天文台(ESO)の8メートル望遠鏡に取り付けた多天体分光器(GIRAFFE)を用いて、南天のFornaxわい小銀河中心部にある赤色巨星81個の高分散分光データを得た。解析の結果、このわい小銀河の恒星はわれわれの銀河に属する金属欠乏度が同程度の星の平均と比べて、α元素、ナトリウム(Na)、ニッケル(Ni)の組成が系統的に低いことを見出した。バリウム(Ba)とイットリウム(Y)の組成比が太陽に比べて大きいという結果が得られたが、このことからsプロセス(遅い中性子捕獲過程)による元素の合成において、低金属量のポストAGB星からの星風の果たす役割が特に大きいことが強く示唆される。また、このわい小銀河においてはユーロピウム(Eu)め生成においてsプロセスの寄与が大きいことも明らかとなった。
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Research Products
(3 results)