2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540247
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
周藤 浩士 National Astronomical Observatory of Japan, 光赤外研究部, 助教 (50300710)
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Keywords | 宇宙固体物性 / 光学赤外線天文学 |
Research Abstract |
本研究の具体的目標は、宇宙固体として興味のある珪酸塩固体結晶の高精度赤外反射スペクトルの取得であったが、良質の結晶サンプルの得られた、オルソエンスタタイト(MgSiO3)とオリビン([Mg92%Fe8%]2SiO4)について、波長5ミクロンから100ミクロンの反射スペクトルを絶対温度50Kの低温から常温300Kの範囲で取得することができた。測定には放射光施設SPring8の赤外ポートと付置のフーリェ分光器を利用し、平成19年度に本科研費で用意したサンプル駆動モジュールを装置内部に組み込むことでサンプル位置再現性を高め、誤差1%以下の精度での反射率測定が可能になった。また、計測用サンプルは1ミリオーダーの微少なサンプルであるが、放射光による高い輝度の利点が有効に働いたこと、さらに光源から検出器までのビームラインはすべて真空下にあり大気吸収の影響を受けないことにより、測定波長範囲の全領域で高いSN比の計測を達成できた。計測サンプルの結晶軸3軸それぞれに対して、オルソエンスタイトについては、23、22, 22本のフィーチャーを、オリビン結晶については15, 13, 11本のフィーチャーを同定でき、これらから赤外波長域における信頼性の高い誘電率を温度依存も含めて導いた。求めた誘電率から予想される放射スペクトルと過去の衛星観測で得られた測定結果を比較することで、波長40ミクロン帯に観測されていた未同定のスペクトルフィーチャーが、オルソエンスタイト単独ではたとえ低温下であっても説明できないことがあきらかになり、クリノエンスタタイトと融合した物質が必要であることを示唆できた。
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Research Products
(1 results)