2008 Fiscal Year Annual Research Report
ワイドギャップ窒化物半導体による放射線耐性に優れた検出器の開発研究
Project/Area Number |
19540254
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
成田 晋也 Iwate University, 工学部, 准教授 (80322965)
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Keywords | 窒化物半導体 / ショットキーダイオード / 放射線検出器 / 放射線耐性 |
Research Abstract |
本研究では、放射線損傷に対して高い耐性を持つと考えられているワイドギャップ窒化物半導体を用いて、素粒子実験分野での実用を見据えた次世代粒子検出器の開発を行った。ここでは、前年度から継続して開発を続けてきたGaN検出器に対しそ、基板品質の評価を含め、特性を詳細に検証した。その中で、本研究で使用したGaN基板の不純物濃度が10^<17>-10^<18>程度と見積もられたことより、放射線に対する感度向上のためには、基板の厚膜化とともに高抵抗化が今後の課題であることがわかった。 一方、今年度は他のIII族窒化物半導体について、検出器材料としての可能性を検証した。ここでは、AlGaN(厚さ0.5μm)およびInGaN(厚さ0.08μm)基板による素子を作製し、各種特性を評価した。AlGaNはGaNに比ベバンドギャップがさらに大きく、またInGaNは平均原子番号が大きいことから、温度特性や放射線に対する感度において、特徴的な性質を示すことが期待される。本研究で用いたAlGaNおよびInGaN基板については、膜厚が充分でなかったため、作製した素子の評価は基本特性(電気特性・光学特性)にとどまった。その結果、逆バイアス耐圧が5V程度で暗電流が数μA/cm^2であることがわかった。 放射線耐性の検証では、GaN、AlGaN素子にエネルギー70MeVの陽子線を入射し、暗電流値の変化から性能劣化を評価した。その結果、10^<15>/cm^2程度の照射量に対して、GaN素子で暗電流の増加が10〜100倍程度で、実用素子として極端な性能劣化をもたらす大きさではなかった。またAIGaN素子では有意な暗電流の増加は観られなかった。これらの結果は窒化物半導体の放射線損傷耐性の高さを裏付けるものであった。 本研究成果から、III族窒化物半導体による放射線検出器開発の可能性が実証され、実用化へ向けた今後の研究開発の方向性が示された。
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Research Products
(4 results)