2009 Fiscal Year Annual Research Report
格子QCDによるストレンジネスを含むハドロン構造の研究
Project/Area Number |
19540265
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 勝一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (60332590)
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Keywords | 量子色力学 / 格子ゲージ理論 / ハドロン物理 / 核子構造 / 弱い相互作用 / フレーバー対称性の破れ / ハイペロン崩壊 |
Research Abstract |
ハイペロンβ崩壊の情報は、核子スピンにおける各フレーバー・クォークの寄与を査定する際、必要不可欠であるが、フレーバーSU(3)対称性を暗に仮定するため核子スピンに対するsクォークのスピン寄与に対する系統誤差は、実験的統計誤差と同程度と見積もられ、実際に核子内sクォークの核子スピンへの寄与が高い精度で決定できていない要因の一つになっている。本研究では、実験的に観測が難しいハイペロンβ崩壊におけるフレーバーSU(3)の破れの存在を格子QCD数値解析により直接観測することを試みた。複数あるハイペロンβ崩壊のうち、特にΞ^0→Σ^+崩壊に着目した。この崩壊は、中性子ベータ崩壊(n→p)とSU(3)対称性を仮定した場合に同一と考えられるため、中性子ベータ崩壊と比較することにより直接的にフレーバーSU(3)の破れを観測できる。実験的にもこの崩壊自体が1グループ(KTeV collaboration)でしか測定に成功しておらず、そあ実験誤差も測定値に対して約15%と大きいため、ハイペロンβ崩壊のフレーバーSU(3)の破れの有無さえ確認できていない。今回の研究では、Ξ^0→Σ^+崩壊のそれぞれベクトル、軸性ベクトルの両チャンネルに関与する計6つの異なる形状因子をそれぞれ独立に計測し、中性子β崩壊との違いを詳細に調べることによって、ハイペロンβ崩壊におけるフレーバーSU(3)の破れを数値解析によって高い精度でその存在を示すことに成功した。
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Research Products
(3 results)