2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540266
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪野 公夫 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (10125271)
|
Keywords | 熱雑音 / 重力波 / 石英 / 鏡 / 揺動散逸定理 |
Research Abstract |
室温の干渉計において最も有望視されている鏡材料は、溶融石英である。そのため、国内外で製造されている士数種の溶融石英のQ値を測定した。結果、10^6から10^7にわたる、種類によって大きく異なるQ値が測定された。TAMA300の最終感度のためには鏡のQ値が少なくとも2×10^7必要であることが計算されており、従来これは非常に困難と考えられてきた。しかし、我々の測定で、バルクの溶融石英としては報告例のない高いQ値,3×10^7を示す石英がいくつか見出されている。また、アニーリングによってQ値が増加する石英もあった。このような各石英の差は、おのおのが含有しているOH基の量や熱遍歴に起因すると理解されている。さらに、多くの石英にに、周波数が低くなると損失が小さくなる傾向があることが分かった。干渉計型重力波検出器の観測帯域は機械損失の測定の周波数よりも数桁低い。機械損失が観測帯域でさらに小さくなるならば、熱雑音はこれまでに予測されている以上に低減されることになり、今後の重力波研究にとって本知見は重要な成果をあげることができた。 今後は、石英の機械損失を決定する要因の特定、機械損失の周波数依存性の研究、最適な熱処理法の探索や積極的な石英材料の開発などを行う。基材を鏡とするために行うコーティングにより導入される損失の評価実験や、将来の低温干渉計のための低温実験などにも、本研究で開発された機械損失の測定法が応用されている。
|
Research Products
(3 results)