2007 Fiscal Year Annual Research Report
Hierarchy Problem in String Theory
Project/Area Number |
19540268
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川野 輝彦 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (20292831)
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Keywords | String Theory / 標準模型 / 超対称性 / 階層性問題 / コンパクト化 |
Research Abstract |
最近、Intriligator-Seiberg-Shih(ISS)による新しい超対称性を破る模型で取りいが非常に簡単なものが見つけられた。実際に、この模型を基礎においた様々な現象論的な模型が提案されているのが現状である。特に、村山-野村によるGauge Mediation ModelはISSモデルを使った新しいシンプルなモデルを提唱した。 彼らによって示された重要な点は、Gauge Mediation ModelはFCNC問題やCPの破れの問題を美しく解くという大きな利点を持ちながら、これまでのところ現象論的な要請を満たすものが非常にまれであり、これらのものも非常に複雑に作りこまれた模型しかなく、Gauge Mediation Modelを自然によって採用されているとは有りそうにもないという印象であったが、村山-野村モデルはこれらの印象を一新させるぐらい簡単でかつ容易に見つけることのできるものであった。 私は、Caltechの大栗氏と大河内氏とともに、Quiver Gauge Theoryと呼ばれる多くの模型において、村山-野村のアイデアを使えることを見出した。このQuiver Gauge Theoryは弦理論のコンパクト化を通じてしばしば見つけることができる理論であるが、特に、我々は具体的なタイプIIB超弦理論のALE-fibered geometryと呼ばれる一種のlocal Calabi-Yau多様体のコンパクトから村山-野村模型を再現できることがわかった。 また、私は、東京大学の八木氏とともに、超対称性をもつSpin(10)ゲージ理論でスピン表現である物質場を2つと任意個のベクトル表現の物質場をもつモデルについて研究をした。特に、このモデルでベクトル表現の物質場の数がある範囲にあるときには、赤外固定点を持つこととその点において双対なモデルが存在することが予想されていた。今回の研究では、a-maximizationという方法を用いて、この赤外固定点での物理を詳細に調べることに成功した。また、双対なモデルについてもより詳しいことが理解できた。
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