2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540275
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡 真 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (60144606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 哲夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (10391806)
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Keywords | 強い相互作用 / 量子色力学 / クォーク / グルーオン / QCD和則 / ペンタクォーク / ハドロン / クォーク模型 |
Research Abstract |
平成19年度は具体的な研究のテーマとして、 (1)メソン、特にスカラーメソンにおける余分なクォーク・反クォーク対の混合の定量的評価、 (2)バリオン、特にSU(3)1重項のΛ励起状態における3qと5qの混合の定量的評価、 (3)クォーク破砕関数による多クォークハドロンの同定可能性の指摘、および (4)チャームメソンにおける4-クォーク成分の混合とアイソスピン対称性の破れの可能性の検証において成果が挙がった。 (1),(2)はいずれもQCD和則を用いてスカラーメソン、およびΛ*を解析し、どちらの場合にも、余分なクォーク・反クォーク対を含む状態が90%近くを占める主成分であることを指摘した。これは、QCDに基づいての定量的な解析としては初めての成果である。 (3)では、高運動量移行反応における破砕関数のフレーヴァー依存性を解析して、スカラーメソンの4-クォーク成分を特定する試みを解析した。現状のデータのグローバル解析によって求めた破砕関数はまだ誤差が大きいものの、この方法でメソンの4-クォーク状態を発見することが可能であると指摘した。 (4)では、重いクォークを含む系で、アイソスピンの破れの効果が大きく現れる可能性を、インスタントン効果などフレーヴァー混合寄与を取り入れたクォーク模型によって解析した。その結果、グルーオン交換効果とインスタントン効果とがつり合うことでフレーヴァー混合が抑圧される場合に、アイソスピンの破れが強くなる場合があることを指摘した。
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