2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540275
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡 真 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (60144606)
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Keywords | 強い相互作用 / 量子色力学 / クォーク / グルーオン / QCD和則 / ペンタクォーク / ハドロン / クォーク模型 |
Research Abstract |
平成21年度の以下のテーマで重要な成果が得られた。 (1) ペンタクォークの量子数と質量のQCD和則による解析 (2) Λ励起状態の格子QCDによる解析 (3) 格子QCDによる8重項バリオンの擬スカラーならびに軸性ベクトル結合定数の解析 (4) Λ*N相互作用とA*ハイパー核の質量 (1)では、20年度に引き続き、2つの相関関数の差をとることにより、束縛・共鳴状態の効果を強めたQCD和則による解析で、ペンタクォークバリオンの量子数の可能性を精査した。その結果、軽く幅の狭いペンタクォークのスピンは3/2でパリティ+である可能性が最も高いことを確実にした。(2)では格子QCD(2-flavor full QCD)の解析から求めた負パリティのΛバリオン状態を解析し、SU(3)1重項と8重項を主成分とする2つの状態が1.6GeV程度に現れることを結論した。この結果、1.4GeV付近に現れるΛ状態は、3-クォークではなく5-クォークあるいはNK束縛状態などの分子共鳴状態である可能性が高いことが解った。引き続き、5-クォークを含む格子QCDによる解析が必要である。(3)では、特にSU(3)の破れ、Goldberger-Treiman関係式の破れに注目した研究を行い、結合定数のSU(3)対称、反対称の2つの成分の比(F/D比)のクォーク質量依存性を調べた。その結果、擬スカラー、軸性ベクトル共にSU(3)対称性が非常に良く保たれる一方、F/D比はクォーク質量に依存していることを明らかにした。これらの結果は、低エネルギーハドロン有効理論の構築において重要な情報を提供している。(4)では、K-メソンを原子核に吸収させて作られるΛ*原子核の束縛エネルギーを求めるためにA*と核子の相互作用をメソン交換模型を元に構築し、その性質と束縛状態の様子を調べた。その結果、カイラルユニタリ模型で予言されている2つのΛ*極に対応する束縛状態が得られ、さらにその結合を考えると、深く束縛する1状態が得られることを示した。このテーマはさらに発展する可能性が高い研究である。
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Research Products
(12 results)