2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540275
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡 真 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60144606)
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Keywords | 強い相互作用 / 量子色力学 / クォーク / グルーオン / ハドロン / QCD和則 / 格子QCD / クォーク模型 |
Research Abstract |
平成22年度の以下のテーマで重要な成果が得られた。 (1)QCD和則に最大エントロピー法を適用したスペクトル関数解析方法の開発 (2)QCD和則によるチャーモニウムスペクトルの温度依存性の研究 (3)A^*N束縛系のカイラルダイナミクスを用いた解析と束縛状態の予言 (1)では、最大エントロピー法をQCD和則に適用することにより、スペクトル関数の形を良く行われるような極と連続状態に仮定することなく、求めることができる手法を開発した。これを最もQCD和則が成功しているρメソンの場合でまず解析し、定量的にも満足な結果が得られることを示した。また、核子のQCD和則にも適用したが、その場合、ボレル和則では十分な精度で結果が得られず、ガウス和則が必要なことを示した。 (2)では、格子QCD計算で注目されているチャーモニウムのスペクトルに最大エントロピー法によるQCD和則解析を適用し、スペクトル関数の温度依存性を調べた。その結果、η_c,J/φともに、非閉じ込め相転移に対応する温度付近でスペクトルが大きく変化し、高温側ではメソン状態が消えてしまうことを示した。この結果は、これまでの格子QCD計算と定量的に異なっているため、今後両者の比較を含む検討が重要課題となる。 (3)では、昨年度に引き続き、A^*原子核の束縛エネルギーを求めるためにA^*と核子の相互作用をメソン交換模型を元に構築し、束縛状態の存否とその性質を調べた。その結果、カイラルユニタリ模型で予言されている2つのA^*極の内でKbar Nの閾値に近い極の共鳴と核子の束縛状態が得られた。この状態に対して、チャネル結合の効果、崩壊幅を解析した。
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