2007 Fiscal Year Annual Research Report
APDを用いたシンチレーティングタイル・ファイバー型カロリメーターの試作
Project/Area Number |
19540278
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
吉田 拓生 University of Fukui, 工学研究科, 教授 (30220651)
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Keywords | 素粒子実験 / カロリメーター |
Research Abstract |
素粒子実験で用いられるシンチレーティングタイル・ファイバー型カロリメーターという装置は、鉛板とシンチレーティングタイルを交互に何層も積み重ねた構造をしている。ここに高エネルギー粒子が入射すると、鉛板の中でカスケードシャワーを発達させるが、このときのシンチレーティングタイルの発光量を測定することによって、カスケードシャワーの「激しさ」、すなわち入射粒子のエネルギーを測定することができる。シンチレーティングタイルの発光は、タイルの中に埋め込まれた波長変換材(WLS)入り光ファイバーの中で波長変換され、そのファイバーを通して外に引き出される。通常、この光は光電子増倍管で読み出されるが、本研究の目的は、この光を、光電子増倍管よりもはるかに高い量子効率を持つ「アバランシェフォトダイオード(APD)」で読み出し、これによってカロリメーターのエネルギー分解能向上を図ることができるか否かを明らかにすることである。 今年度は、カロリメーターの試作を始める前に解決しておくべき様々な課題について検討した。まず、本研究で用いる予定のAPDの性能評価を詳しく行い、十分大きなS/N比が得られることを確認した。次に、種々のシンチレーティングタイルやWLSファイバーの中から本研究に適した発光量の多いものを選択するため、実際に種々のサンプルに荷電粒子を照射し、最も発光量の多くなるタイルとファイバーの組み合わせを決定した。また、カロリメーターのエネルギー分解能は、鉛板やシンチレーティングタイルの形状、WLSファイバー用の溝の形状などにも大きく左右されるが、これらについては、既存のカロリメーターの構造を参考にするとともに、モンテカルロシミュレーションによるエネルギー分解能の計算なども実際に行い、試作するべきカロリメーターの構造設計を行った。
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Research Products
(5 results)