2008 Fiscal Year Annual Research Report
APDを用いたシンチレーティングタイル・ファイバー型カロリメーターの試作
Project/Area Number |
19540278
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
吉田 拓生 University of Fukui, 工学研究科, 教授 (30220651)
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Keywords | 素粒子実験 / カロリメーター |
Research Abstract |
はじめに、前年度に設計した雛形電磁カロリメーターを作製した。受光素子として、従来の光電子増倍管(PMT)だけでなく、PMTよりもはるに高い量子効率を持つアバランシェフォトダイオード(APD)も使えるようにした。APDは冷却することによってS/N比が飛躍的に向上する。本研究でも、APDを真空容器の中に設置し、ベルチエ素子を用いて-50℃程度まで冷却できるようにした。 次に、完成した雛型カロリメーターに宇宙線μ粒子を照射し、性能評価を行った。カロリメーターに入射した宇宙線μ粒子は、カスケードシャワーを発生させることなく、カロリメーターを貫通する。この場合、カロリメーターから得られる信号は、Minimum Ionizing Particle (MIP)1本がカロリメーター中のシンチレーティングタイルを通過するときのエネルギー損失(dE)に相当する信号である。一方、高エネルギーの電子線やγ線がカロリメーターに入射した場合は、カスケードシャワーが発生し、同時に多数の粒子がシンチレーティングタイルを通過することになるが、そのときに得られる信号は、MIP1個分の信号を、タイルを通過する荷電粒子の数だけ重ね合わせたものとほぼ等価であると考えられる。このため、MIP1個分のエネルギー損失をできるだけ高精度で測定できる受光素子を用いた方が、電子線やγ線に対しても、より高いエネルギー分解能が得られることになる。本研究で、カロリメーターに宇宙線μ粒子を照射したときのエネルギー損失(dE)に対する分解能をPMTとAPDのそれぞれを用いて測定したところ、PMTでは31%、APDでは27%となり、APDを用いた方が良い分解能が得られることが分かった。なお、今年度はAPDは冷却せず、室温中で用いた。APDの冷却によってさらにどこまで分解能が向上するかを調べることが、来年度の課題となる。
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Research Products
(5 results)