2009 Fiscal Year Annual Research Report
APDを用いたシンチレーティングタイル・ファイバー型カロリメーターの試作
Project/Area Number |
19540278
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
吉田 拓生 University of Fukui, 工学研究科, 教授 (30220651)
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Keywords | 素粒子実験 / カロリメーター |
Research Abstract |
昨年度に製作した雛型電磁カロリメーターの受光素子としてAPDを用いた場合の性能評価を行った。既に昨年度の研究で、室温中でAPDを用いた場合でも、光電子増倍管を用いるよりも高いエネルギー分解能が得られることが分かっているので、今年度は、APDを冷却することによってさらにエネルギー分解能を向上させることができるか否かを調べるために、APDを室温から-30℃程度まで冷却しながら、宇宙線μ粒子(MIP)がカロリメーターを貫通したときのエネルギー損失(dE)の分解能を測定した。今年度は、APD冷却装置の調整に手間取ったため、APDの光電子増倍率(Gain)を50という比較的小さい値に固定したときの測定しかできなかった。APDのGainが100以下の場合、APDのノイズは温度依存性のほとんど無いSurface Dark Currentによって決まるので、エネルギー分解能も温度によらずほぼ一定になることが予測されるが、測定の結果もそのとおりになった。しかし、Gainを100以上に上げると、APDのノイズは温度依存性の大きいBulk Dark Currentによって決まるようになり、しかも、APDの温度が下がるとBulk Dark Currentは小さくなるため、結果的に、APDを冷却することによってカロリメーターのエネルギー分解能が向上することが期待される。このことを実際に確認し、最もエネルギー分解能が良くなるGainと温度を求めることが、来年度の課題となる。 また、今年度行った実験によって、今回用いたAPDは、温度が1℃変化するとGainが2~3%変化することが分かった。このことから、カロリメーターの受光素子としてAPDを用いる場合には、APDの温度変化を0.1℃程度以下に抑える必要があることが分かった。
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Research Products
(5 results)