2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540279
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
南部 保貞 Nagoya University, 理学研究科, 准教授 (40212112)
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Keywords | 非一様宇宙 / 距離 / ダークエネル |
Research Abstract |
実際の宇宙の観測において,観測データとしての天体までの距離は,赤方偏移と見かけの明るさの関係として得られる.その関係を通じて一様等方宇宙モデルであるフリードマン宇宙のパラメーターが決定される.しかしながら,非一様宇宙において同様の観測を行ったとしても,赤方偏移と見かけの明るさの関係は,観測者の場所や観測する方向に依存して変化してしまい,そのままでは宇宙全体に対する情報を抽出することができない. そこで非一様宇宙における距離の概念を正確に把握する目的で,一般的な非一様時空を球対称時空に射影することで,非等方性の効果を取り入れた距離に対する方程式の導出を行った.任意の非一様時空を用意し,光源までの距離に対して観測者中心の角度方向平均を行うことで,球対称時空に射影された距離方程式を得た.射影する球対称時空はEinstein方程式の厳密解であるLTBモデルを用いる.得られた方程式は非等方性の効果を1つの任意関数として含み,形式としては非一様宇宙の光の伝播方程式として広く採用されているDyer-Roederの距離方程式と同じとなることが明らかとなった.この方程式を超新星の観測データとフィットさせることで,逆に非一様性の大きさとスケールがどのように観測から制限されるかを議論した.
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